自分が希望する業界に転職したいと考えたとき、たいてい壁になるのは、未経験であるということです。
新卒採用であれば、みんなが未経験であることは当たり前ですが、キャリア採用となると、できれば経験とスキルをもつ人に来てほしいという会社が多いのが実情です。
その壁をどうやって乗り越えるのか。実は派遣の仕事であれば、それほど難しいことではありません。
それは、派遣会社に「○○業界で働きたい」という希望を告げて、未経験からでも始められる仕事を探してもらうという方法です。
アシスタント業務であれば、未経験OKの仕事もあるからです。
一度その業界で実務につけば、それは立派な経験になります。
今後、業界のプロフェッショナルを目指していくための足がかりになります。
エン・ジャパンの2012年の調査(第65回アンケート「人材派遣の利用について」)によると、日本企業全体のうち80%を超える企業が、派遣社員を活用したことがあると回答しています。
さらに業界大手の企業ほど、派遣社員を頻繁に活用しているという結果も出ています。
つまり、「○○業界で働きたい」と派遣会社の門をたたけば、ほとんどの業界の仕事を見つけることができるというわけです。
「自分の働きたい業界の仕事があるかどうかわからない」などと言う前に、とにかく派遣会社に行ってみることをおすすめします。
ただし第4章でくわしく述べますが、労働者派遣法という法律により、派遣が禁止されている業務もありますので、その点はご注意ください。
仕事への意欲があるのに、未経験だからという理由でなかなかきっかけがつかめず、一歩を踏み出せないというのは、たいへんもったいないことです。
だからぜひ、一人で悩んでいないで、派遣会社に相談してほしいと思うのです。
あなたの希望のキャリアを積んでいく最初のきっかけをつかめるように、派遣会社も協力してくれます。
もちろん、最初から思い描いている仕事につけるわけではありません。
それでも派遣会社には、自社の派遣社員がスキルアップを図れるように、教育研修制度を整備しているところも数多くあります。
仕事に入る前には、研修を受講することで、仕事に必要な基本的な知識やスキルを身につけることができます。
派遣社員に、なぜ派遣を選んだのかを聞いてみると、「未経験からでも教育研修制度があり、頼りになる」という理由を挙げる人も多いのです。
まずは基礎の基礎となる知識とスキルを身につけ、自分が働きたいと望む業界で、簡単な仕事からスタートしてみる。
派遣会社と相談しながら、その業界でだんだんにキャリアを積んでいくプランを描いていく。
そういう道があります。
派遣会社によって差はありますが、未経験からどのようにキャリアアップしていくのかというキャリアプランの相談に乗ってくれるところもたくさんあります。
派遣会社では、様々な業界の情報をもっているので、相談するだけでこれからの方針を立てられることもあります。
派遣の仕事はとにかく、派遣会社との二人三脚がなければ成り立ちません。
迷ったり、悩んだりしたら、まずはその迷いや悩みをぶつけてみることです。
派遣会社としても、自社の派遣社員には、たとえ未経験からでも着々とキャリアを積み、長く仕事を続けてくれるほうがありがたいと考えています。
「この業界で働くなら、○○の資格があると有利だと聞くけれど、本当のところはどうなのか」といったことなど、実際の仕事に直結するリアルな情報をもたらしてくれること請け合いです。
「本当はここではなく、あの業界でキャリアを積みたかったのに」。
あなたがもし今、そんな思いを抱いているなら、迷っていないで派遣の仕事を始めてみましょう。
どうせキャリアチェンジをするなら、できるだけ早いほうが実を結びやすいのですから、迷っている時間などありません。
現在就業中でも、登録できたり、相談を受けつけてくれる派遣会社も数多くありますから、まずは今の仕事を辞めるか辞めないかはさておき、派遣会社に行ってみてください。
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